名古屋電機工業株式会社

道の駅第1号システム (1993)

「鉄道に駅があるのだから、道路にも駅があってもいいのではないか」道の駅はそんな声から生まれた道路の駅です。一般道路でもドライバーが気軽に立ち寄れる駐車場やトイレなどが整った休憩施設があり、その地域や道路の情報を提供するサービスを受けられるなどのさまざまな条件をクリアした施設が道の駅として認可されています。中部地方では平成4年に最初の「道の駅」富士が静岡県にできました。当社はこの道の駅に、沿道の情報をドライバーに提供する、情報提供装置を納入することになりました。

いちばん頭を痛めたのは、ハードウェアよりもどのような情報を提供するかという問題でした。道路情報板は道路管理者が時々に応じて表示したい情報を入力しますが、道の駅で必要とされる情報は道路情報板とはまた違ったもので、一般の利用者の要求に応えられる情報をあらかじめ集めておかなくてはなりません。利用者はどんな情報を欲しているのか、またその情報を、いかにコストを抑えて有効に更新していくかが重要です。

道路情報の他、地域の観光情報や気象情報など、利用者の知りたいことは多種多様です。道路情報を表示する地図やパネル、利用者のリクエストに応えて地域の情報を提供するリクエスト端末の他、衛星ひまわりの画像を受信する装置や、文字放送での情報提供装置を設置しました。ひまわりの画像を一般の利用者に開放したのはここが初めてでしたが、「道の駅」富士は交通量の多い国道1号沿いにあり、長距離トラックのドライバーが多いため、局地的な天気予報よりも雲の動きを見て天気が予測できるこのサービスは好評を得ました。

そして、「道の駅」富士はまだ文字情報が中心でしたが、当社はこの道の駅を期に、文字を中心とした情報提供から未知の分野であった映像による情報提供へと進出し、マルチビジョンをメインとした装置へと変換してゆくことになります。

IT技術のめざましい進歩で、今や情報はありとあらゆる形で手に入るようになってきました。それにともない情報の価値も変化している中で、利用者の必要とする情報とは何なのか、それをいかに提供してゆくかということは常に考え続けなければならないことです。道の駅における情報提供の役割は、今後も情報化社会の変化と共に変化・発展していくことでしょう。

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