画像処理型駐車状況判別システム第1号システム (1991)
当社は人材育成の一環として、大学の社会人入学制度を利用して社員を大学院に入学させています。昭和61年(1986年)、最初の大学院生となった社員が大学院で画像処理を専門としている教授に出会い、画像処理技術を勉強してきました。ちょうどその当時、道路公団から、「駐車場をより有効に利用するために映像を使って駐車状況を検出できないか…」という話が。このタイミングを逃す手はない、と、画像処理の分野への挑戦が始まりました。
しかし当時の名古屋電機工業は、情報板メーカーとして業績を上げていましたが、カメラやセンサーといった分野ではまったく無名に近い存在でした。その状況で大手のメーカーに勝てるような製品を造るには、独自の技術を開発しなければなりません。社員が師事した教授に協力を仰ぎ、産学共同の開発が始まりました。
当社の検出方法は発想そのものが他社とは大きく違いました。他社は車が止まっている状態での静止画像で検出する方法を採りましたが、当社は車が動いている状態での動画像で検出する方法を採ったのです。もともとX線CTなどの医療系の画像処理の専門家である教授が、車の動きを血の流れに見立てたことから生まれた発想でしたが、これが他社との決定的な差を生むことになります。当時は今ほど性能の良いカメラがなく、静止画像だと光量の足りない夜間の検出が難しかったのです。その点、動画像なら、車は動いている間はヘッドライトで自ら光っているので、夜間でも精度を保てます。
しかし動画像にもデメリットはありました。動いているものを捉えるために静止画像処理よりも速い処理スピードが必要になるということです。既製品では動画像の高速処理に耐えられるものがありません。「世界一速いコンピューターを作る」を合い言葉に、コンピューターの中身から作り上げていきました。
画像処理は見え方によって左右され、昼夜の差や気象条件の変化にも対応できるようにコンピューターの調整が必要です。2カ月間、社員が現地に泊まり込んで調整をつづけ、平成3年(1991年)、東名高速道路足柄SAに、画像処理技術による日本初の駐車状況判別システムが誕生しました。
今では基礎的な技術もできあがり、現地での調整も短期間で済むようになりました。駐車状況判別システムから始まった画像処理技術は、今では路面状況や交通流の検出にも利用され、各地で導入が始まっています。特に路面状況検出システムは、ITSが重要視される中で、より安全な走行のために必要不可欠なものとして、今後さらに重要になっていく分野です。
当社の最新の駐車場案内システムは、こちらからご覧ください。