視覚障がい者用信号第1号機 (1975)
視覚障がい者には、信号が変わってもそうとわかりません。それまでも既にメロディー式視覚障がい者用信号が設置された例がありましたが、オルゴール式、チャイム式等のこれらは、直射日光や塵埃、振動など、交通量の多い道路のそばでは故障が多く、また高価だったため、全国的な普及には至らなかったのです。
しかしこのままでは危険だし、不便です。そこで、信号の青色灯器の電球回路に、音の出る簡単な装置を並列に接続する方法が考えられました。その話はすぐに当社に持ち込まれ、さっそく開発が始まりました。
可愛らしい音がいいという要望で、音はピヨピヨというひよこの鳴き声で決定。また、健常者だけで満足していては意味がないと、視覚障害者協会に検討を頼んだところ、四叉路で一つの音色だけではわかりにくい、実用化するには東西・南北それぞれの異なった音色が欲しい、という声を受け、東西をピヨピヨ、南北をカッコー、として製作しました。
その年の秋に、全国視覚障害者連合大会でこのピヨピヨが発表され、その様子がマスコミに報道されました。やがてピヨピヨ・カッコーはその必要性と価格の安さが受け入れられ、全国に普及してゆきます。夜間、交差点付近の住民の耳について困るという苦情には、交差点周囲の騒音が大きいときにはピヨピヨの声を大きくし、静かなときには小さくなるように設計。今では全国で見かける、交差点には欠かせないものになりました。