名古屋電機工業株式会社

可変標識第1号機 (1968)

昭和43年(1968年)当時、交通規制のための道路標識は丸形のものが数枚串にささった団子のように並んでいました。それぞれの標識の下には規制時間の書かれた補助標識もあって、どの標識を見たら良いかよくわからず、見落としによる違反者も少なくありませんでした。

そこで、新たなニーズをつかむため、情報収集をしていた当社に、もっと見やすい標識はできないかという声がかかりました。実は、その話を聞いた先代社長自身が、標識の見間違いで警察官に注意された経験があり、かねてよりもっと見やすい標識が必要だと思っていましたので、すぐに「時間により標識を変える表示板を作ります」と答えて、さっそく製作に取りかかりました。

標識を変える方法として、ヒントを得たのは、バスの行き先表示の字幕でした。ポリエステルフィルムに標識の図柄を印刷し、時間ごとに必要な標識を表示することにしたのです。標識が変わるタイミングは、普通のタイマーを使うとどうしても誤差ができてしまいます。常に正確なタイミングで標識を変えるために、時報を利用することにしました。制御機に時計とラジオの機能を内蔵し、時報に合わせてフィルムを可変させました。これにより常に正確なタイミングで標識が入れ変わり、字幕式可変標識が完成しました。

可変標識第1号機は、新宿区神楽坂に設置することになりました。午前と午後で一方通行の方向を変えるための標識です。竣工当日には、全国で初めての製品ということで、マスコミの注目も集めました。

タイマーではなく、時報を使った信号機が、この可変標識以前にも他社から出ていましたが、大変高価なものでした。可変標識は、ドライバーから見やすい規制標識と同時に、時報を拾うという技術でも低価格で高性能を実現した製品です。この可変標識は、グッドデザイン賞を受賞しました。

その後、この可変標識は全国に普及。今でも各地に可変標識を納入しています。

当社の最新の交通管理システムは、こちらからご覧ください。

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